建設工事に対する防犯対策
近くで行われている建設工事の影響で、住宅が傾いたり亀裂が入ったりしたという相談があります。
しかし、相談される方は「建設工事の影響で、住宅に亀裂が入った」と思っているかも知れませんが、建設工事に携わった側からしてみれば「昔からあった亀裂じゃないのか?」とか「たまたま、このタイミングで住宅に亀裂が入っただけじゃないのか?」とか「住宅に亀裂が入った原因は、他にもあるんじゃないのか?」と感じているようです。
つまり、侵入窃盗(泥棒)やストーカー等と違い、近くで行われている建設工事による住宅の被害は、誰にどのくらいの責任があるのかを判断するのが難しい案件なのです。(勿論、明らかな犯罪ではないので警察に相談しても対応してもらえない事が多い)
下記では、大規模建設工事による幾つかの被害対策を御紹介させて頂きます。
住宅に被害が及ぶ可能性がある建設工事
住民への説明会が開かない建設業者
・大規模な建設工事の前にに周辺住民に対して説明会が開かれていない場合、何らかの問題が発生する可能性がある。
・建設工事に関する注意書き等を書いた書類も配布していない場合、配布している業者と比べて問題が起きる可能性が高い。
近所に挨拶回りをしない建設業者
・建設工事の開始前に近所への挨拶回りをしていない業者は、周辺住民への配慮に欠ける工事をする可能性がある。
地盤改良工事を伴う建設工事
・地盤改良工事の際、周辺地区へ振動の影響が及ぶ可能性がある。
・周辺も軟弱地盤の可能性があるので、振動による地盤沈下の心配がある。
住宅やビルの解体工事
・解体工事は大きな振動が発生する可能性があるので、周囲の建物にクラック(ヒビ割れや亀裂)が生じる可能性がある。
・特に地下室がある様な建物の場合は、振動が伝わりやすいので気を付ける必要がある。
道路工事(改良工事・修繕工事・新設工事)
・隣接道路の工事が行われる場合、振動が個人の敷地にも伝わりやすく注意が必要になる。
・特に修繕工事の場合、既存のアスファルトや標識やガードレールを撤去する際に大きな振動が発生しやすい。
占用工事(上下水道管・ガス管・電気配線など)
・隣接する道路で占用工事が行われる際は、最も注意が必要になる。
・どの工事も道路を深く掘削するので、周囲で地盤沈下(不同沈下)が発生する可能性がある。
住宅に被害が及ぶ可能性のある建設工事(土木工事・建築工事)は意外と多くあります。
あまり気にしていない住民の方も多いですが、建設工事の現場で発生する大きな振動は大規模地震の様な被害を生じさせる事もあります。しかも、あなたの住宅に被害が及んだとしても、被害が発生した後からでは非常に証明が難しいのです。
多くの場合、建設工事からは「あなたの住宅で発生したクラック(ヒビ割れや亀裂)や不同沈下(地盤沈下)と、弊社の建設工事との間に因果関係はありません」と言われてしまいます。(スグに責任を認めてくれる場合もある)
一度でも建物が傾いたり大きな歪みが生じたりしてしまうと、非常に高額の修繕費が係ってしまう事もあります。
大きなトラブルが発生してから各所に相談するよりも、前もって出来る限りの防犯対策を講じておく事が大切です。
防犯カメラ愛知では、建設工事に対する被害を最小限に食い止める為にも、様々な防犯対策をお勧めしています。
建設工事に対する防犯対策
1:住宅の写真を撮る(工事開始前)
・建設工事が始まる前に住宅の写真を撮影しておく事で、瑕疵が生じた際に工事前のものか工事後のものかを判断出来ます。
・住宅だけでなく敷地全体の写真も撮っておくことで全体被害の把握にも役立ちます。
2:住宅の検査をする(工事開始前)
・近所で建設工事が始まる前に自宅の建物検査を実施しておくと、第三者による証明にも繋がります。
・特に耐震診断や構造材の強度測定などをしておくと、被害が発生する前にある程度は被害を予測する事も出来ます。
3:外壁の既存クラックの長さや幅などを測定する(工事開始前)
・工事が開始される前に、既に発生している外壁のクラック(ヒビ割れや亀裂)の規模を日時と共に記録しておきます。
・特に幅が広いクラック(0.3㎜以上)や深さがあるクラック(0.5㎜以上)がある場合は、複数枚の写真も撮影しておきます。
4:床下の検査をする(工事開始前)
・住宅の床下は普段点検していないだけに、近くの建設工事で被害が発生しても気付かない可能性の高い場所です。
・特に大規模な蟻害(シロアリの被害)が発生していると、建物に甚大な被害が及ぶ可能性もあるので注意して下さい。
5:小屋裏(屋根裏)の点検をする(工事開始前)
・小屋裏(屋根裏)は、新築当時からの瑕疵を放置したままのケースもあります。(瑕疵に気付いていない)
・そういった場合、近所の建設工事が原因で建物が被害を受けても、責任転嫁される事もあるので確認しておいて下さい。
6:工事現場の写真を撮る(工事期間中)
・十分な騒音対策や防音対策が施されているか、工事が適切に行われているかなどを記録しておきます。
・中には、工事指示書通りに施工されていないケースや、十分な振動対策が講じられていないケースもあります。
・自宅で工事の音(騒音測定)を測ったり粉塵の量(粉塵測定)を測ったりしておく事も対策の一つになります。
7:建設工事業者の責任者に挨拶をする
・出来れば責任者の名刺なども貰っておくと安心です。
・責任者と話した時の対応で、不安な要素を感じた場合は十分な防犯対策が必要です。
8:建物の傾きを測定する(工事開始前)
・建物の外周と室内の傾きを測定しておきます。(出来ればデジタルレベル等を使い細かく測定する)
・室内の床の傾きなども測定しておくと安心です。
9:基礎の既存クラックの長さや幅や深さなどを測定する(工事開始前)
・既に構造クラック(幅0.3㎜以上・深さ0.5㎜以上)が発生している場合、少しの振動でも悪化する可能性があります。
・集中してクラックがある場合や、横断クラックやせん断クラックがある場合は、工事前に補強や修繕工事をお勧めします。
10:屋根の検査をする(工事開始前)
・現在雨漏れがしていないかや、瓦がズレたり漆喰が欠落したりしていないか等を調べておきます。
・屋根は振動の被害を受けやすい場所ですが、被害に気付きにくい場所でもあります。
自宅周辺で行われている建設工事に対する防犯対策としては、工事が始まる前の状況を客観的な情報として保存しておく事です。
例え、建設工事が原因で自宅にクラックが発生したり建物が傾いたりしても、それが建設工事によるものだと証明する事が出来なければ、誰も責任を取ってくれない(損害賠償してもらえない)可能性が出てきてしまいます。
その一番の原因は「住宅のクラックが建設工事が始まる前から発生していたかどうかを証明できない」からです。
住宅に僅かなクラックが発生する程度なら諦めがつくかも知れませんが、明らかに建物が数㎝傾いたり数m規模のクラックが数十本も発生してしまったりすると、大規模な損害になってしまいます。
火災保険などの損害保険に加入していても、自然災害(地震・火災・台風・竜巻・洪水など)と違い、建設工事による住宅の被害は補償して貰えない事もあるので、現在加入している保険会社に確認しておく事も重要な防犯対策の一つになります。
建設工事に関する情報
道路で行われる工事
道路の占用工事
道路工事
道路の承認工事
具体的な内容
掘削工事(上水道工事・下水道工事・電気工事・ガス工事など)
アスファルト・ガードレール・標識・カーブミラー等の工事(新設工事・修繕工事・改良工事)
個人や法人が道路管理者の承認を貰い自費で行う工事(車両を敷地に入りやすくする工事など)
道路の工事は、上記の3種類が一般的です。
なかでも、道路を掘削する占用工事の際には注意が必要です。
場合によっては数週間もの間、かなりの振動が続く可能性があります。
特に下水の排水管は一番深い場所に儲けらている(一番上がガス管・二番目が水道管・一番深いのが下水管)ので、工事による振動の被害も大きくなります。(ガス管でアスファルト舗装から60㎝以上深く埋設されている)
また、配管から水漏れしていると、建物の下の土が流出する可能性もあるので十分な注意が必要です。
修復が困難な住宅の基礎コンクリート
建設工事の中でも、地盤改良工事や解体工事は大きな振動が発生する事も多いので、近隣住宅に住んでいる方は何らかの対策が必要になる事もあります。大きな建設工事の場合、十分な調査や検査が行われていると思っている方も多い様ですが、基本的には「建設工事をする前提で調査」をしています。しかも、一番被害が発生しては困る住宅の下の地盤調査は出来ない場合が殆どです。(既に建物がある為)
また、基礎がベタ基礎(床面全てにコンクリートが張られている)の場合、布基礎(床下に土壌がある)に対して強度はありますが、一箇所でもクラック(亀裂やヒビ割れ)が入ってしまうと、修復が困難になってしまいます。

建設工事を行っている側も損害保険には加入している場合が殆どですが、中には損害保険に加入していない業者も存在します。
また、損害保険に加入しているからといって、損傷したあなたの住宅の修繕費を支払ってくれる保障はありません。
本来は建設工事が行われる前だけでなく、定期的に住宅を検査する事が重要です。
そうすることで大きな問題に発展する前に、住宅の劣化や瑕疵に気付く事も出来ます。
特に、新築時から見つかっていない瑕疵が建物にあると、建物寿命にも多大な影響を及ぼす可能性があるので注意して下さい。
建設工事に関する防犯対策の御相談
防犯カメラ愛知では、建設工事に対する防犯診断や防犯対策を実施しています。
もし気になる不審な出来事や不安な要素がある場合や、建物や人物の防犯目的や見守り対象がある場合など、防犯カメラの設置や利用を御検討されている方は、御気軽に防犯カメラ愛知に御相談下さい。