侵入窃盗に対する防犯対策
「泥棒=侵入窃盗犯=空き巣犯」と捉えている方も多い様ですが、実際は「泥棒=侵入窃盗犯>空き巣犯」という関係です。
つまり、侵入窃盗は侵入する手口によって「空き巣」「居空き」「忍び込み」の大きく3種類に分けられているのです。
侵入窃盗の種類
1:空き巣
住人が建物内にいない間に、金品等を盗むという手口です。
侵入窃盗の中で、最も多い手口です。
2:居空き
住人が建物や敷地内にいる間に、貴重品や金品等を盗む手口です。
侵入窃盗犯(泥棒)にとって、住人が在宅というデメリットはありますが、カギや窓が開いている可能性が高いので侵入しやすいというメリットもあります。
3:忍び込み
住人が就寝している間に、住宅に侵入して金品や貴重品を盗む手口です。
侵入窃盗犯(泥棒)側からみれば、住人が二階の部屋で寝ている場合は一階で犯行に及んでも気付かれにくいという点と、近所の人目に触れにくいというメリットがあります。
侵入窃盗事件の約60%は空き巣が占めています。
しかし、住人がの在宅中に侵入する居空きが約5.3%と、住人の就寝中に侵入する忍び込みが約22.6%で、合わせると侵入窃盗の約28%が住人の在宅中に建物内に侵入されているのです。
これは非常に危険な状態で、もし住人が侵入窃盗犯(泥棒)と鉢合わせてしまった場合を想像して下さい。
その際に侵入窃盗犯の方が逃げてくれればいいですが、もし攻撃をしてきた場合、住人側が大怪我をする可能性もありますし、最悪の場合殺されてしまうかも知れません。
また、侵入窃盗犯の侵入方法が判明していないケースも多く、もしかしたら住人の在宅中に侵入している確率は、もっと高いのかも知れません。
5段階の防犯対策【侵入窃盗に対する対策】
1⃣:窃盗犯の標的にされる
自宅をターゲットにさせない為の防犯対策
2⃣:敷地内に侵入される
敷地に侵入されない為の防犯対策
3⃣:建物内に侵入される
建物に侵入されない為の防犯対策
4⃣:物を盗まれる
貴重品や貴金属や宝石などを盗まれない為の防犯対策
5⃣:損害の補填をする
被害個所の修理・損害の補填・再侵入されない防犯対策
通常、侵入窃盗に対する防犯対策は5つのフェーズに分ける事が出来ます。
一般的には2⃣や3⃣の「建物に侵入されない対策」ばかりに焦点があてられていますが、他の3つの段階もそれぞれ重要です。
確かに、敷地や建物に100%侵入されない対策を講じる事が出来るのであれば、2⃣や3⃣の防犯対策だけでも十分かも知れません。
しかし、2⃣や3⃣の基本的な考え方は「侵入するのに5分以上かかれば7割の泥棒は侵入を諦める」というデータによるものです。
では、「侵入に5分以上かけてでも諦めない3割の泥棒」に対してはどうするつもりなのでしょう?
つまり、3割もの侵入窃盗犯が侵入に5分以上かかっても侵入を諦めない以上、侵入窃盗犯を防ぐ為には5段階の状況に対応したそれぞれの防犯対策(保険なども含む)を講じる必要があるのです。
1:自宅がターゲットにされない防犯対策(情報の漏洩防止)
個人情報を漏洩させない
どんな住人が住んでいるか分からない家は、侵入窃盗犯のターゲットにされにくいので外観から判断出来ないようにします。
同じ理由で住んでいる人数が分らない家も、狙われにくのでなるべく家族構成が分らないようにします。
住宅情報を流出させない
建物の情報が分れば分るほど、侵入窃盗犯は忍び込みやすくなります。
住宅の間取りが把握されない様な環境(玄関から室内が見渡せない・窓の外から室内が把握できない)にする事が重要です。
生活パターンを把握させない
毎日の帰宅時間や出勤時間を、侵入窃盗犯(泥棒)に把握されてしまわない様に気を付けて行動します。(独り暮らしの場合)
病院に行く曜日やジムに行く時間帯や買い物の時間帯などを正確に把握されてしまうと、余裕を持って狙われてしまいます。
明らかに留守になる時間帯に対しては、何らかの防犯対策を施す様に心掛けて下さい。
御存知の方もいると思いますが、侵入窃盗犯は犯行に及ぶ前に徹底的に侵入しようとする住宅を調べます。
それは絶対に自分が警察に捕まりたくないからです。
そして入念な調査の後、侵入窃盗(泥棒)に入るのです。
侵入窃盗犯が調べる住人の情報には個人差がありますが、概ね「住人の人数」「住人の顔」「住人の使用する車両や駐車場」「住人の行動パターン(買い物に行く時間帯・病院に行く曜日・習い事に出かける時間帯など)」「周辺の住宅環境」等の情報を収集してから犯行に及びます。
つまり、侵入窃盗犯がターゲットになる住宅を探している時点で、自分の家が狙われないようにする事が重要な防犯対策になるという事を御理解下さい。
2:自宅の敷地内に侵入されない防犯対策
敷地内に侵入させない
侵入窃盗犯は他人の敷地に入っている姿を見られたくないものですが、見られた場合の言い訳も考えてから侵入します。
言い訳の多くは「休憩していた」「家を間違えた」「他人の土地だと知らなかった」等です。
侵入窃盗犯が言い訳や言い逃れが出来ない様な防犯対策を施す事で、泥棒は侵入そのものを諦める可能性が高くなります。
道路との境界線にフェンスやブロック塀が設けられてないと、敷地内に侵入する理由にされてしまいます。
隠れられる場所を減らす
侵入窃盗犯は、常に自分の姿を見られたくないという気持ちがあります。
敷地内に侵入窃盗犯が身を隠せるような場所を減らす事で、犯行そのものを諦める様にします。
垣根や目隠し効果の高いフェンスやブロック塀や大きな物置などがあると、侵入窃盗犯が隠れられるスペースになります。
敷地内に侵入する理由を与えない
インターホンが建物に取り付けられている場合(道路からは押せない状況)、泥棒が敷地内に入る理由を与えてしまいます。
隣接する道路から郵便ポストに手が届かない場合、侵入窃盗犯(泥棒)が敷地内に入る理由として使われてしまいます。
上記の表は住宅に侵入しようとする空き巣犯が犯行を諦めるのにかかる時間を表したものです。
空き巣犯の約70%が、侵入に5分以上かかると犯行を諦めます。
しかし、言い換えると約30%の空き巣犯は侵入に5分以上かかっても犯行を諦めません。
その大きな理由は「重要な住人の情報を持っいる」からなのです。
その一つに「住人の行き先を知っている」「住人の帰宅時間を知っている」などが挙げられます。
確かに住人の行き先や帰宅時間が分ってさえいれば、近所の住人や通行人にさえ注意を払えば自分は安全だからです。
3:住宅内に侵入されない防犯対策(建物への侵入防止対策)
防犯対策を把握されない
防犯対策には「泥棒に侵入を諦めさせる効果」もあります。
つまり、自分では判断できない様な防犯対策が施されていると、犯行を諦める傾向があるのです。
侵入するのに時間をかけさせる
侵入窃盗犯の約70%は、侵入に5分以上かかると犯行を諦めるので、少しでも侵入に時間がかかる様な防犯対策を施します。
窓ガラスを防犯ガラスにして、破壊するのに時間をかけさせる防犯対策も効果的ですが、エアコンの室外機の上にプランターを置く等することで、踏み台として使いにくくするのも効果的な時間稼ぎとして使えます。
確認に時間のかかるトラップを仕掛ける
例えば、窓のカーテンを閉めて出掛ける事で、侵入窃盗犯は部屋の中を確認する事が出来なくなります。
そのカーテンに扇風機の風が当たる様にしておくと、窓が閉まっているのにカーテンが揺れている状態が続きます。
侵入窃盗犯側からしてみれば住人が不在の可能性もありますが、確証が持てないので侵入を諦める可能性もあります。
テレビやエアコンをつけて出掛けると留守か否かの判断も難しくなります。
また、住人の帰宅が早いと思ってしまい、犯行を諦める原因にもなります。
一般的に住宅用の防犯対策と言えば、この「住宅内に侵入されない防犯対策」を指します。
つまり、例え侵入窃盗犯(泥棒)に敷地内へ侵入されたとしても、住宅内さえ侵入されなければ「被害を最小限に抑える事ができる」という考え方です。
確かに、侵入窃盗犯が住宅内にさえ侵入させなければ、貴重品や現金などが盗まれる事はありません。
しかし、そう考えるあまり、防犯対策を住宅(建物)にばかり集中させてしまう事が多いのが現状です。
そうなると、知らず知らずの間に住宅の防犯対策が単調になってしまい、侵入窃盗犯(泥棒)が攻略し易い構造が出来上がってしまうのです。
侵入窃盗犯を建物内に侵入させない防犯対策は非常に重要なポイントですが、そこにばかり防犯ポイントを集中させない事が、簡単に破られない防犯対策に繋がるのです。
4:物を盗まれない防犯対策(貴重品や貴金属の盗難防止)
侵入窃盗犯に対するトラップ(罠)を張る
侵入窃盗犯(泥棒)が想定出来ていない(一般公開されていない)防犯対策を講じる事で貴重品などを盗まれない様にします。
侵入窃盗犯に限らず、誰でも自分が予想をしていない展開には対応出来ないのが普通です。
侵入窃盗犯に時間を使わせる
侵入窃盗犯(泥棒)は、建物への侵入に時間をかけたくありませんが、長時間建物内にも居たくありません。
しかし、予想以上に現金や貴重品を探し出すのに時間がかるようにすれば、犯行を諦めて出て行く事もあります。
侵入窃盗犯に入られる想定で生活をする
いつかは侵入窃盗犯(泥棒)に入られるという気持ちで生活しているのと、泥棒に入られる事などないと思って生活しているのとでは全く違います。
大事な貴重品や現金が盗まれる事が大変な事態ですが、最悪でも「取り返しのつく状況」と「取り返しのつかない状況」になっているのとでは、天と地ほどの開きが出てしまいます。(最低限のバックアップ体制を整えておく必要がある)
本来、一番重要なのはここです。
建物に侵入されたとしても、貴重品や現金などを盗まれる事がなければ被害は最小限に抑える事が出来るからです。
しかし、多くの防犯工事業者やセキュリティ対策業者からは、建物に侵入させない為の防犯対策や防犯用品は数多く提供や販売されていますが、建物に侵入された後の防犯対策は殆どありません。
その理由は簡単です。
建物に侵入された後の防犯対策には十分な経験や専門の知識が必要な上に、過去の似たような防犯対策の使い回しが出来ないからです。(著しく汎用性が低い・既存の防犯機器を使用出来ない)
防犯カメラ愛知では、建物に侵入された際の防犯対策も御提案しています。
建物に侵入された後の、防犯対策に御興味や御関心のある方は、御気軽に防犯カメラ愛知まで御問い合せ下さい。
5:損害の補填や回復(今後の防犯対策・損害の補填・破損個所の現状回復)
窃盗被害の調査
窃盗被害には「目に見えている被害」と「目に見えない被害」が存在します。
「目に見えない被害」に気付かずを放置しておくと二次被害が発生する可能性があるので注意が必要です。
例えば、普段の住宅内の部屋を撮影しておくと、窃盗被害が発生した時に「自分でも覚えていない室内の違い」に気付く事が出来ます。(警察や保険会社に提出する資料としても使える)
※「目に見えない被害」には、「住宅のカギのコピー」「盗聴器の設置」「IDやパスワードの盗難」「個人情報の流出」「コンピュータウイルスの侵入」などがあります。
損害の修理
窃盗が原因で発生した被害部位の修理が必要です。(窓ガラス・ドア・フェンス等)
見落しがちな被害(室内のフローリング・エアコンの室外機等)もあるので、詳しい損害個所の拾い出しが必要です。
※侵入窃盗犯に破壊されたドアや窓ガラスは火災保険で補填される事があります。(加入している火災保険の確認が必要)
盗まれた物の補償
窃盗犯に盗まれた物を細かく拾い出しします。
意外と気付きにくいのが「USBメモリやSDカード」「スペアキー」「使っていない携帯電話」「各種契約書」などです。
※侵入窃盗犯により盗まれた物は、火災保険が適用されると補償される場合があります。(盗まれた証明が必要な場合もある)
※詳しい補償範囲や保証条件は、加入している火災保険の種類によっても異なるので、保険会社に確認が必要です。
新たな防犯対策の導入
一度、窃盗に成功した泥棒は、再度泥棒に入る可能性があるので、再侵入を防ぐための防犯対策が必要です。
特に「現在の住宅に使われているカギ」は、既にコピーされている可能性があるので新たなカギに交換が必要です。
※加入している火災保険によっては、防犯カメラや防犯錠を設置する費用の一部や全部が保険で賄われるケースがあります。
侵入窃盗の被害に遭ってしまった場合、ただ落胆したり諦めたりするのではなく、「損害を補填する」ことや「更なる防犯対策を講じる」ことも考えなくてはいけません。
その為にも、火災保険の内容を精査したり契約を見直したりする事も重要です。
もし、火災保険に加入していない場合は、加入をお勧めします。
再発防止の為に建物を改修したり防犯機器の設置費用が賄われる「防犯対策費用特約」が含まれているプランが御勧めです。
防犯カメラを設置する目的
1:問題や原因(過去)
どのような原因で問題が発生したのかを調査する際に、防犯カメラの映像が記録されていると役立ちます。
どうすれば最も効果的な対策になるかを調査する際に、防犯カメラの映像が残されていれば役に立ちます。
2:防犯対策の導入(現在)
現場の状況や依頼者の要望や予算などを考慮して、最適な防犯カメラを設置します。
防犯カメラには本来の目的以外に、高い犯罪抑止力も期待出来ます。
3:犯罪の抑止やトラブルの回避(未来)
今後も問題が発生しないような環境を保ったり新たな防犯対策を講じる事が出来ます。
実際に発生した犯罪やトラブルに応じて、次の被害が発生しにくい対策を加えていきます。
防犯カメラや監視カメラを設置する際には、「設置する為の目的」が非常に重要です。
ついつい必要のない多機能型のカメラを設置したり本来の目的とは関係のない機能を加えたりする事で、不要な問題が生じたり本来の目的に支障が出てしまう事もあります。
防犯カメラを選ぶ時は、現在の状況を十分に把握する為にも住宅の防犯診断が重要です。
防犯カメラを設置しただけでは解決しない問題
防犯カメラを設置する事は、犯罪の捜査や犯人の逮捕に役立つ非常に有効な情報です。
しかし防犯カメラの映像があれば犯人が逮捕されるかというと、実際はそんなに簡単には解決しません。
特に組織的な犯罪グループは、幾つもの防犯カメラを無力化する方法を知っていますし、自分達が捕まらない様な対策も施しています。それは主に下記のような対策です。(他にも多数ありますが、ここでは記載しません)
・逮捕されても構わない実行犯を使う(特殊詐欺の受け取り役と同じ扱い)
・盗難車に偽造ナンバープレートを設置した車両を使用する(犯行毎にナンバープレートを交換する)
・目出し帽や手袋を使用する(人相が分らない・指紋が残らない等)
・匿名性の高いTor(The Onion Router)で仲間を募集したり、匿名性の高いSNS(テレグラム等)の連絡手段を使う。
実際は、防犯カメラに侵入窃盗犯(泥棒)が写っていても、意外と犯人は捕まりません。
そして、被害に遭った物も戻って来ないケースが殆どです。
防犯カメラを設置する場合は、侵入窃盗犯(泥棒)の侵入経路や侵入手口や侵入目的に応じた設置方法が求められます。
あなたがお住いの住宅に防犯カメラの設置を御検討されている方は、御気軽に防犯カメラ愛知まで御相談下さい。
侵入窃盗に対する防犯対策の御提案
新しい侵入窃盗の手口が見つかると、それに対応した防犯対策は誕生したり、セキュリティ機材が導入されたりします。
しかし侵入窃盗犯(泥棒)は、新しい防犯対策が施された建物が作られたり、新型のセキュリティ機材が導入され始めると、それを破る侵入手口を考え出します。
つまり、ここまでの防犯対策を講じておけば、100%安全という防犯対策は無いのです。
常に、新しい侵入窃盗の手口が発見される度に、それに応じた防犯対策を施していく必要があるのです。
防犯カメラ愛知では、集合住宅や戸建住宅や店舗や事務所などに対する防犯診断や防犯対策を実施しています。
もし気になる不審な出来事や不安な要素がある場合や、建物や人物の防犯目的や見守り対象がある場合など、防犯カメラの設置や利用を御検討されている方は、御気軽に防犯カメラ愛知に御相談下さい。